アパート経営で相続税対策ができるの?節税効果を知っておこう

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相続税対策といえば、知っている人ならまず、アパート経営が頭に浮かぶのではないでしょうか。

しかし、そうでない方は「アパートと相続税がどんな関係があるの?」と疑問に思うはずなので、簡単に説明します。

相続税においては被相続人の資産に応じて、相続人に対し相続税が課税されます。

ここでの資産というのはプラスの資産です。しかし、マイナスの資産にはどうなのでしょうか。

結論からいうと、しっかりと加算されます。

したがって、仮に5億円の総資産があったとして、その資産をすべて使い果たすのはなかなか難しいですが、5億円の借り入れをした場合はどうでしょう。

そのお金でマンションを建築したら、借り入れ額は5億円、仮にマンションの評価額は3.5億円だとすると、1.5億円分の資産の目減りとなりますね。

大きな借り入れをしてマンションやアパートを建築する。そして相続税額を減らす。ローンでの債務は当然発生しますが、そこはアパートの売り上げでカバー…といったからくりができあがるのです。

もう少し詳しく掘り下げて見ていきましょう。

アパート経営においての節税効果

貸している割合で減税される

土地や建物を貸している場合、相続が発生したからといってもすぐに売れるものではなく、また、その土地や建物の売却時に、賃貸をしていることで自由が利かなくなります。

そのことは、当該の土地や建物の評価額を低くすることにつながるため、相続税法上は、その割合に応じて評価額をダウンすることになるので、節税効果があるのです。

借地権割合

借地割合は相続税路線価図において。それぞれの土地ごとに30パーセントから90パーセントまで定められています。路線価図のアルファベットがそれぞれの借地権割合となっています (Aの90パーセントからGの30パーセントまで) 。

借家権割合

アパートやマンション、一軒家などが建っている土地は貸家建付地(かしやたてつけち)という扱いとなり、貸家建付地の評価は、その土地の路線価評の価格に借家割合(全国一律30パーセント)をかけて計算します。

さらに、土地の評価額には賃貸割合というものも密接に関係し、アパートやマンションの部屋の入居が全部埋まっていると賃貸割合が100パーセントとなります。

【評価額の計算例】

貸家建付地の評価額=本来の相続税評価額 ×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

本来の相続税評価額が1.5億円、借地権割合30%、借家権割合30%、賃貸割合100%の場合の評価額は、1億5000万円 ×(1-0.3×0.3×1.0)= 1億3600万円となり、本来の評価額1億5000万円より1350万円評価が低くなったことがわかります。

小規模宅地等の特例(貸付事業用)

小規模宅地等の減額の特例とは、土地に建物が建っている場合、要件を満たすことにおいて、土地の評価額を一定の割合で減額するという特例です。

この特例を簡単にいうと、被相続人が賃貸用として使っていた土地を、賃貸経営を続ける人が相続した場合は、200立方メートルまでの部分を評価額の50パーセントに減額することができます。賃貸アパートや賃貸マンションの敷地・駐車場・地主が借地人に土地を貸している場合の底地部分(貸宅地)などが該当します。

借り入れをする

アパートやマンションを建てる際に銀行などのローンを利用すると、相続税を減額できるます。

冒頭でお話をした有名な一例です。もう少し厳密にお話すると、銀行などで借り入れをした資産で建築を行えば、資産は現金ではなく建築した建物に移ります。そして、その建物は、建築した費用で評価されるのではなく、固定資産税評価額で評価されるので、減額されるのです。


一般的には固定資産税評価額は本来の評価額よりも低く、借り入れた金額よりも低いのが通常なので、その分、相続税が抑えられることにつながります。

【現金1億5000万円を相続した場合】

現金1億5000万円を一人で相続したときの相続税額

基礎控除額3000万円、法定相続人かける1名600万円

3000万円たす600万円で3600万円

(1億5000万円引く3600万円)かける40パーセント引く1700万円で2860万円

【1.5円で購入したアパートを相続した場合】

相続人一人で、建物8000万円、土地7000万円で購入

その時の路線価は実勢価格80パーセント、固定資産税評価額70パーセントとする。

借地権割合60パーセント 借家権割合30パーセント アパートは満室(賃貸割合100パーセント)

上記の場合の相続税額は以下の通りになります。

土地の評価額:8000万円 × 80%×(1-60%×30%×100%)= 5248万円
建物の評価額:7000万円×70%=4900万円
相続税額=(5248万円+4900万円-3600万円)×40%-1700万円=919万2000円

同じ遺産を相続したとしても現金で相続するよりアパートやマンションを建てて相続したほうが、相続税を抑えられることになります。

現金で相続するより、アパートで相続すると当然ながら賃料が入るため、副収入が入るといった恩恵も受けます。

しかしながら、いいことだけではありません、表もあれば裏もあるというこですが、アパートを建築することでの借り入れが発生するため、月々の支払をしなければならないというデメリットもあります。その中で空室のリスクや賃料の引き下げといったリスクを伴うことにより、生活資金に影響を及ぼす場合もあるのです。

生前贈与

アパート経営に対する相続税のお話で、生前贈与も比較対象としてお話をしておいた方がいいでしょう。

通常では贈与税の方が税率は大きく、相続税の方が少ないのですが、使い方によっては納める税金の額を結果的に減らせる場合があります。

アパートやマンションの生前贈与

アパートやマンションを生前贈与する場合は、一般的には建物だけを贈与するケースが多いようです。

その理由は、家賃収入を生むのはアパートやマンションの方だからです。建物が建っている土地からは家賃収入は発生しません。そして建物と土地を一緒に贈与すると贈与税が増えてしまうことがあげられます。

建物は建築してから年数が経つにつれて経年劣化を伴い、評価額が下がっていきます。評価額が2500万円に満たないアパートであれば贈与時に贈与税を納めなくてもいいのです。

後々のためには建物だけを贈与した場合は、その土地は相続財産として遺産分与の対象になることから、遺言書に「土地はアパートを贈与したものに相続させる」といった内容を書いておく必要があるでしょう。

贈与財産の評価額が抑えられる

同等の価値の現金とアパートやマンションとでは、贈与をした場合、建物は現金よりも評価は低くなりますので、贈与税も少なくて済みます。現金ならその金額そのものが贈与税の対象に対して、アパートやマンションなら評価額は固定資産税と同じです。

アパートやマンションの取得時の固定資産税評価額は、おおむね50から60パーセントと低く、アパートやマンションは贈与税の評価上、貸家として扱われるので固定資産税評価額から借家権割合の30パーセントを差し引くことが可能です。

贈与後の賃貸収入は贈与されたものの収入となる

これは収入がある物件を生前贈与した場合の大きなメリットです。相続前に被相続人の資産が増えるのを抑えることができます。その結果、贈与していることにおいて相続が発生したときの資産の目減りを図ることができます。

所得を分散することができる

被相続人の所得が高い場合、累進課税により所得税も高くなります、アパートやマンションを生前贈与することにより所得を分散し、ひいては被相続人の所得を減らすことができます。相続人の所得にもよりますが、被相続人と相続人の税金の合計が低くなるようでしたら所得分散の効果はあります。

まとめ

アパート経営によって相続税対策ができるということがおわかりになりましたか。少々難しいですが、ぜひ税金対策としての一助になれば幸いです。

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